トライバルラグについて
産地が変われば、文様や色彩も変わる
こちらでは、当社で取り扱っているトライバルラグ・ヴィンテージラグの主要な産地と、地域によるデザインと色彩の細かな違いについてご紹介いたします。
織り手の暮らしや風土が映し出されたラグの個性を感じていただければ幸いです。
シラーズ
イラン南部に位置する詩とバラの街”シラーズ”
イラン南部にそびえるザグロス山脈の麓に位置するファールス州シラーズ、その肥沃な土地にギャッベの生産者として有名な”カシュガイ族”を筆頭に様々な遊牧民が暮らしており、それぞれが代々受け継ぐ独自の文様は、日本人では描くことの出来ない特別なものです。
特徴的な赤色と、濃い青色が目を引くシラーズ産のトライバルラグは、遊牧民の生活感を反映した動物のモチーフが多く見られます。
サイズは大型のものが多く、長辺が200cmを超えるものも多いため、お部屋にダイナミックな存在感を与えてくれます。
バルーチ(族)
スィスタン・バルーチェスタン州
バローチスターン州
バルーチ族は、イラン南東部のスィースターン・バルーチェスターン州(下部左)と、パキスタン西部のバローチスターン州(下部右)を中心に、アフガニスタン南西部にまたがって暮らす民族です。交易路沿いに位置するため、歴史的に移動性が高く、遊牧・半遊牧生活をするために実用的なラグが必要不可欠でした。
バルーチ族によって作られるトライバルラグは、幾何学文様のものが多く、一般的に、深みのある赤色・濃紺・黒色が印象的なものが多く、他にはない独特なデザインとなっています。
サイズとしては、小型~中型のものが多いです。持ち運びやすさを重視した結果かもしれませんね。
アバデ
イランのファールス州北部に位置する"アバデ(アーバーデ)郡"は古くから交易の要衝として栄えたという歴史があり、文化の交流点となったため、トライバルラグのデザイン性が高められていきました。
アバデ産のトライバル・ヴィンテージラグの特徴と言えば、ペルシャ絨毯にも似た、緻密な織りです。
アバデは、ペルシャ絨毯の五大産地の一つであるイスファハンとシラーズの間に位置することから、トライバルラグの素朴さと、ペルシャ絨毯の繊細な織りを兼ね備えるラグの生産地として知られています。
ハマダーン
イラン西部に位置する”ハマダーン州”標高が平均約1,877mと高く、冬場の平均最低気温が-5度になる大変寒い地域です。古くからシルクロードの西ルートにあり、西部イランの主要路上都市として栄えてきたという歴史を持ちます。
そんなハマダーンで織られるトライバルラグは、ハマダーン市内および周辺の多数の村で、住民や農村家庭によって織られており、一口にハマダーンラグと言っても、産地の村によって文様が異なります。
その中で代表的な文様として目立つのが、大きな菱形や六角形のメダリオンと、その周りに配置される意匠化された花柄。
「トライバルラグと言えば」という印象のデザインが多く、とりあえず民族的な絨毯が欲しいというお客様にオススメです。
パキスタン
ペシャワール(カイバル・パクトゥンクワ州)、
先ほど紹介したバルーチ族が多く住むバローチスターン州の北に位置する。ペシャワール(カイバル・パクトゥンクワ州)などで主に作られるブハラ文様のトライバルラグをご紹介。
パキスタン産のトライバルラグの特徴はなんといっても、”ブハラ文様” です。
起源はトルクメン。現在はパキスタンでも広く織られ、八角形や、多角形の模様を繰り返し配置した規則性のあるデザインが整った印象で、一般的には赤系統が多いですが、海外向けに製造されたラグはベージュ・アイボリー・金茶・淡桃色・黒など落ち着いた色調のものが多く見られます。
日本に届く、物語のある一枚
厳選された絨毯は、現地での検品・洗浄・梱包を経て日本に輸送されます。
絨毯やかたでは、展示即売会やオンラインストアで皆さまにお届けしています。 一枚一枚に現地の空気と想いが詰まった、まさに“語れる絨毯”です。
※ハッサン御一家と当社スタッフ
※イラン出身のアドバイザーハッサン御一家と当社スタッフ
私たち絨毯やかたは、絨毯アドバイザー・ハッサンの深い知識に支えられながら、絨毯への理解を日々深めています。ハッサンからのアドバイスは、現地での買い付けの場面でも大きな助けとなっていて、イランで絨毯を選ぶ際にも、「日本の住空間に合うものはどれか」「今、人気が高まりつつあるデザインは何か」といった判断に、彼の視点がしっかりと活かされています。私たちも一歩ずつ、より良い絨毯をご紹介できるよう成長を続けています。