絨毯豆知識「絨毯の模様について

前回に引き続き、ハッサンさんからうかがった絨毯やイランについてのお話をお伝えしたいと思います。 偶像崇拝が禁止されているイスラム教ですが、シーア派の多いイランに関しては絨毯については伝統的な模様を織り込むことが続いています。 そのため、今でも多くの模様を絨毯に見ることができます。

イランの絨毯には色々な模様があり、意味があります

ライオン模様の絨毯
イランの絨毯にはたくさんの模様があります。そしてそれぞれには象徴的な意味が込められています。多くが伝統的な模様で、代々引き継いだものです。例えば、ライオンは古代のインドには存在しましたが、現在は絶滅していると言われています。そのライオンが模様の中に残っています。そのライオンは百獣の王だけあり権力、力の象徴なのです。

宗教などに関する模様

メダリオン模様
 最古の手織り絨毯は2500年前からあります。古代はゾロアスター教で、いまは中世以降はイスラム教の地域になりました。そのため、宗教に関する模様も多々あります。たとえば、寺院のモスクの天井を描いたメダリオン。これは各種あり、複雑かつ精密で壮大な模様です。

花瓶

花瓶模様
 赤ワインが入っている花瓶を描いた(織った)ものです。この赤ワインですがハッサンさんがいうには、シラーズは特に名産地だったそうで、シラーというオーストラリアのワインの名前の由来がこのシラーズという地名だそうです(実際には諸説あるそうです)。現在は宗教的には禁止されているお酒の赤ワインですが、とてもゆかりのあるものだということがわかりました。

いろんな動物

色々な動物がペルシャ絨毯の模様があり、ここでは一部だけ紹介いたします。まず鳥ですが、羽ばたいて遠くに行く動物であるため、まさしく飛躍の象徴とされています。 そして、虎が鹿を狩るところ。こちらは欧米では力の象徴として人気です。他にもウサギもあり、本当に種類が多くあります。 

王族に関する模様

代々ペルシャの王宮で絨毯製作は大切にされてきました。そのため、王族に関する模様があります。例えば、王冠や宮殿などがあります。ペルシャの王朝パーレビ朝の国旗なども描かれています。 

サル模様

遊牧民の生活と模様

遊牧民の生活
 ペルシャ絨毯は王朝に親しまれてきた優雅な織物です。一方、ギャッベは特に遊牧民の生活に密着したものです。普段使いで母親から代々引き継いだ素朴な絵柄を今に残しています。それは多くが遊牧民の生活に関するものです。例えば、家畜(羊やヤギ)や草木などです。その全てが、縁起の良いもので、木は「生命の木」と呼ばれ、大きく育つ木は、「成長」や「長寿」を意味します。家畜の羊やヤギは財産なので、財産が大きくなるようにという願いを込められています。 このように、多くの模様があり、それには意味や背景があります。バリエーションが豊富で、都度ハッサンさんにうかがうと、いつも発見があります。 当店は絨毯のことを日々勉強していますので、気になることは何でもご質問ください。